日馬富士の一件で、「にわかアンチ相撲ファン」に振り回されるな。
昨日の昼頃、一つのメッセージが入った。
とある情報番組の電話出演依頼だった。
日馬富士の事件を受け、貴乃花親方と伊勢ヶ濱親方の関係性と、モンゴル人3横綱の関係性。この二つについて聞きたいということだった。私の知る限りのことを話し、気がつくと電話インタビューは1時間にも及んでいた。
今日放送の番組の中で、そのインタビューは放送されるとのことだった。こういう事態ではあるが、何かの形で役に立てればという想いで依頼を承諾した。私の経歴を説明し、顔写真もお送りした。こういうものなのかと思った。
だが、そのインタビューは何一つ放送されなかった。
そう。
インタビュー後に事態は一変したからだ。
白鵬が記者会見でビール瓶を使っての暴行が無かったと主張した。かと思いきや、アイスピックという凶器の存在が浮上している記事もある。そして、日馬富士の幼馴染という女性の証言も飛び出した。
親方同士や横綱同士の人間関係による推測という次元の話よりも、具体性のある新情報という次元の話の方が説得力がある。私の出番はこのような形で終わった。
もう何が正しくて、何が間違っているのか、
情報と登場人物だけが増え、事態は混乱し、我々は困惑している。
今のところ確かなのは、日馬富士が貴ノ岩を殴った。
この一点だけである。
この問題を取り扱うメディアの姿勢も疑問だ。この場を借りて説明したいのが、テレビ報道で貴ノ岩の顔面がアザだらけの写真が多く用いられているが、あれは今回の事件後のものではない。昇進時の会見で撮影されたものだ。嘘だと思ったら「貴ノ岩」「昇進」というキーワードで検索するといい。アザだらけの貴ノ岩が貴乃花親方と握手している画像が出てくるので、興味がある方はぜひご確認いただきたい。
さて、情報が錯綜する中で非常に困ったことが起きている。悪い方の情報だけを鵜呑みにしている人が後を絶たないのである。
状況が不明確なのに日馬富士を「人殺し」と言ったり、解雇しろと言ったり、果ては懲役などという言葉まで飛び出る。具体的な処分は事実関係が明らかにならねば下せないにもかかわらず、だ。
その矛先は私にまで向けられる。
発言を引用し、話してもいないことを主張したことにされてしまう。引退以外で然るべき処分を模索してほしいと主張しても、どういうわけか全て許してほしいと言ったことにされている。
こちらの意見を聞いた上での反論であれば何も言うことはない。そして、主義主張が異なればそうですかで済む。だが、一つの主張のために、日馬富士を辞めさせるために人の話も聞かず、情報も得ずに突っ走る人が大勢居ることにはある種の恐怖を禁じ得ない。
考えてみると、こういうことは頻繁に起きている。良くない事件が発生すると、袋叩きにしに来る人は山ほど居るのである。これは、誰もが発信できることの弊害なのだろうか。
何が彼らをそこまで動かしているかは分からない。ただ、やらかした誰かを徹底的に叩く。よく調べずに、事実関係も背景も調べずに、非を声高に主張して彼らは叩き続ける。少し前にその対象は、小池百合子だったのかもしれない。その少し前は、宮迫だったのかもしれない。
少なくとも共通しているのは、彼らは相撲を殆ど見ていないということだ。言わば「にわかアンチ相撲ファン」である。そして、困ったことにそういう彼らの主張こそが、世論の形成に一役買っているということなのだ。
彼らを納得させなければ、事態はそう沈静化しない。だからこそ今の時代に求められるのは彼らが暴れる前に収めるか、彼らに目を付けられたら想像以上に厳しいペナルティを課すしか無いのである。
初動の遅さとビール瓶での殴打という深刻な一次情報によって、この「にわかアンチ相撲ファン」に目を付けられてしまった。そもそもこれが大変不味かったのだが、こうなった以上彼らをどうするかを考えていかねばならない。
まずは相手にしないこと、振り回されないこと。
彼らが騒ぐほどに事態はゼロか100か、白か黒かという着地点でしか語られなくなる。どんな事態にも背景がある。そして、時系列がある。彼らの言う非だけでなく、全てを総合的に考慮しなければならない。そのためには、にわかアンチの主張を退けねばならないのである。
そして「にわかアンチ」が恥ずべき行為だという風潮を作ること。
これが非常に重要だ。彼らの主張に従うと、不祥事を起こした全ての人が再起不能になる。然るべき処分は受けるべきだが、処分の全てが再起不能に追い込むことではない。
要するに、彼らは人を再起不能に追い込んで遊んでいるのだ。人の人生を弄ぶ行為に加担していることを認識させるためにも、にわかアンチ行為には明確にノーを突きつけるべきだと私は思うのだ。
日馬富士の処遇について語る前に、まずは情報が出揃うまで待とう。そして、にわかアンチ相撲ファンから距離を置こう。混乱している今私たちに出来るのは、そんな簡単な話だと思うのである
◆トークライブのお知らせ◆
12月2日18時より錦糸町丸井のすみだ産業会館でトークライブ「第4回幕内相撲の知ってるつもり⁉︎」を開催します。今回のテーマは「数字で振り返る、2017年の大相撲」です。今回は土曜日に行いますので、普段来られない皆様もふるってご参加ください。お待ちしております。
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“日馬富士の一件で、「にわかアンチ相撲ファン」に振り回されるな。” に対して2件のコメントがあります。
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去年ゲスの極み乙女。を叩いていた人のほとんどはもともとゲスの極み乙女。の音楽を聞いていなく、叩きたいだけの人。
というのに似ている気がします。
とても良くわかります。
「にわかアンチ相撲ファン」ほど横綱の品位や協会の体質というワードを持ち出して、自分と対照的な好角家(この言葉あまり好きではないですけど)のふりをしたがるんですよね。
さらにそういう人たちにとっては日馬富士はただのモンゴル人力士の1人でしかない、その事が何より残念です。