国技館のいやげものは2016年も健在なり。過去最高額の圧倒的な存在感をご覧あれ。

時は2016年。

両国国技館のサービスは日増しに改善されている。人気低迷以降戦略的にファンサービスを充実させた結果であると言えよう。

手ぬぐい。
クリアファイル。
ガチャガチャ。

全てが話題になり、手にした観客は大いに満足した。相撲協会の努力の縮図が、こうしたグッズに現れていると言っても過言ではないと思う。

だが私は知っている。
相撲協会の手がまだ及ばぬところが有ることを。
そう。
いやげものである。

急速に改善されている分野ではあるのだが、数ある土産物の中になんとも言い難い、「両国国技館に有るような」としか形容出来ないセンスの土産物が存在しているのである。

私は過去に、国技館で発見したいやげものに投資という名の浪費を重ねてきた。笑いの犠牲に金をドブに捨て続けてきた。しかし、世の中の大半の方は分からないかもしれないが、金をドブに捨てる行為には快楽が付きまとうのである。

いやげもの収集という趣味、というかもはやここまで来たらライフワークなのだが、事有る度に集めたいやげもの達を私は当ブログを通じて掲載し続けてきた。そして、当ブログの中でも吐合に次ぐコンテンツとして君臨するようになった。

さぁ、2016年5月はどのようないやげものが待ち受けているのか。期待に胸を膨らませて私は行きつけの土産物屋に足を運んだ。すると、今まで気にし続けてきたとある商品に驚くべき異変が生じていた。

「定価10000円のところを、50%オフ!」

まず定価10000円という、強気の価格設定の土産を販売していることに驚くのだが、その価格を見慣れた私にとって驚きはそこではなかった。国技館の土産物に、ディスカウントなど有り得ないのである。

破滅的な価格で「一体誰が買うのだろう」と思うのが、土産物屋での一つのプレイだ。馬鹿高い軍配や、力士のサインをあしらったぐいのみ辺りがこのカテゴリのものである。そこに来て、ディスカウント。しかも衝撃の50%オフと来た。

これはもう、買うしかない。「一体誰が買うのだろう」から「俺が買うしかない」への変化。いやげものの購入には、謎の当事者意識が必要なのである。

さて、今回私が購入したのは、これである。

謎のブラックボックスに「大相撲」の文字。そして、恐らく力士が力士を投げているシェルエットなのだろうが、2匹の魚が泳いでいるようにしか見えない。

不気味の一言だ。私の語彙ではこの箱は不気味という言葉でしか言い表すことが出来ない。職場でもニシオの例えスキルは一定の評価を頂いているのだが、私の腕ではこれが限界である。

すげえ。
まずこの箱がすげえ。
しかもこの箱を上から映すとこんな感じだ。

・・・
どれだけ長い間在庫として君臨し続けてきたのだろうか。入荷されてきた頃、朝青龍は現役だったのだろうか。うちの近所の「おもちゃのくらね」でもこんな年季の入った商品はそう無い。

さて、それでは開けてみよう。
その正体は、「琴奨菊フィギュア」である。

この3年の経験の中で培った、力士のキャラものの商品を出す時のパターン分析なのだが、実は3種類存在している。

1.実写(写真をそのまま使う)
2.少し抽象表現(錦絵など)
3.ディフォルメ(イラスト化)

この価格のフィギュアなので、当然実写に近いセンスが必要になる。だが、・・・この写真を見た誰もが思うはずだ。

誰?これ。
琴奨菊を琴奨菊たらしめているのは、「万里一空 琴奨菊」という文字だ。なんで塩撒くんだよ。いや、せめて琴奨菊フィギュアなら琴バウアーだろう!琴バウアーさえやってくれれば、多少顔が変でも今なら許されるのに。いわゆるちょっとアレな、昔のタマちゃんアイスキャンデーとかその位のレベルで済むのに。

塩撒く姿もなんかちょっと違うし、筋肉も足りないし、そう考えてみると大銀杏のシェルエットもなんか違う。ほんとどこが合ってるんだろう。間違い探ししたつもりが、実は合ってるところを探した方が少ないんじゃないかと思うほどだ。

だが、再現性が低いフィギュアというのはいやげものとしては結構よく有るジャンルだ。全然似ていなければそれはそれで面白いし、似ていないレベルが微妙でもそこに哀愁が生まれる。

これは、かなりのレベルの逸材だ。
白鵬マスクや高見盛皿にも匹敵する。
このフィギュアの存在が恐ろしいほどである。

ただ一つ困りものなのが・・・
飾るには不気味だということだ。

ど、どうしよう。
・・・とりあえず、しまっておこう。

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