2024年大相撲9日目所感 朝乃山の休場には予見可能なデータが存在した
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朝乃山の休場は運が無いだけではない
朝乃山の休場によって今場所の優勝争いが大きく変わりました。
ここまで好調でしたが、玉鷲戦の敗戦の際に痛めたようで、今朝になり状態が悪化したという情報でした。
朝乃山については下位の力士に対して比較的取りこぼしが少ないタイプの相撲という特徴があります。
勝負どころでの取りこぼしもまた特徴の一つではありますが、自分の形で攻めた時の勝率の高さもさることながら比較的形が出来ていない状態で攻めてもこの位置であればそれほど落とさない。
だから万全でなくても勝てる時は勝てるし、その確率も高い。
下位だと朝乃山が浮上してくるのは、コンディションが悪くなければある程度妥当といえるのかもしれません。
館内のムードも朝乃山に味方し、今場所は復活した朝乃山のためにあるとさえ思いました。相撲が完成したなんていう話もあったくらいでしたから。
しかし、初黒星の時によりによって負傷してしまう。
運もありません。
ただ、これを運ということで終わらせられない点もあります。
23歳前後と30歳前後で休場は急増する
朝乃山の休場が「運が無い」で片づけられない理由。
それは加齢とともに怪我のリスクが相対的に上がってくるということです。
昨年のトークライブの時に話に出ましたが、23歳前後と30歳前後というのは休場する確率が急増するタイミングでもあります。
23歳前後の怪我は出世を妨げるもので、30歳前後のものは力士生命を揺るがしかねないリスクがあるものと言い換えることができます。
この二つのタイミングで怪我をした力士を列挙するとああなるほどとなるかと思います。
後者に関しては大関だと高安と栃ノ心が該当する、といえば分かりやすいところでしょう。
怪我が少なかった高安と、大けがを乗り越えてきた栃ノ心。どちらも生涯最高の相撲を取れていたのに、大関に昇進して直後に痛める。
そしてその年齢は30前後。
負傷すべくしてしていると言い換えることも出来る訳です。
入門年齢が高いほどピーク年齢も高くなる
ただ、一方でもう一つのデータもあります。
それは、入門年齢が高ければ高いほど成績のピークは先送りになるということです。
少し古い話ではありますが北の湖や貴乃花が引退したのは大体30前後の頃ですが、二人とも体はボロボロでした。
付け加えるとただボロボロだった訳ではなく、引退前の数年はかなり休場が目立っているという状況だったのです。
二十代後半には休み休みでなければ相撲が取れないところまで追い込まれることがあるのが、中学卒業後入門の一つの特徴でもあります。
朝乃山に関しては大学卒業後の入門です。
ですからプロの世界での消耗という点に於いては比較的少ない方と言えるでしょう。
似た世代の御嶽海と正代が大関昇進したのは30歳前後でした。これも大関昇進時の年齢としてはかなり高い部類に入ります。
朝乃山に残された時間は限られている可能性がある
つまり、朝乃山はまだデータ上怪我をする可能性は高まっているものの、成績が下降線をたどらない可能性もあると言えるわけです。
ましてや朝乃山は一番の充実期を迎える段階で不祥事を起こし、2年余りトップでは相撲を取っていなかった力士でもあります。
消耗度で考えると、相対的にかなり低いと言えるでしょう。
今回の怪我も全治2週間という診断が出ていますし、それほど深刻なものではないかもしれませんし、そうだと良いとも思います。
今日の休場で思ったのは、朝乃山に残された時間は限られている可能性があるということです。
杞憂に終われば良いですが、とはいえトランプ大統領が観戦に来た時に優勝を遂げた朝乃山すら既に中堅からベテランになりつつある、ということは忘れてはいけないことです。
故に焦らねばならない、強行出場せねばならない、そういうことを言いたいのではないのですが、年齢とピーク、休場というのは相関関係は確かに存在しています。
データが力士の可能性を閉ざすものであっては欲しくありませんが、今回の休場についても全くの予想外という訳ではありませんでした。
その事実が、次の焦りを生まないでほしいものです。
ただでさえ取り返そうとしている姿勢が垣間見えますから。