Number webに『引退した里山の忘れられない一言。 「本当は前に出る相撲を取りたい」』を寄稿しました。
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里山は、恩人だ。
里山引退に際して、Number webに寄稿した。
ご存知の方も多いと思うが、私にとって里山は愛憎を超えた特別な力士だ。全ては里山から始まったと言っても過言ではないと思う。
あの一番。
2012年初場所の吐合里山という一番。
あそこで吐合が勝っていれば、このブログは吐合が諦めずに夢を実現したことをトレースし、美しい物語を綴る形で終わっていたことだと思う。そして里山はそれを引き立てる脇役に過ぎなかった筈だ。
だが、そうはならなかった。
勝者は里山で、敗者は吐合だった。
里山はその後6年近く関取を務めた。夢を叶え、達成しながらも実はその後のほうが遥かに道は険しく、しかし険しい道を切り開くその姿に感服していた。
あの一番を吐合が勝っていたら。
そう思うこともあるが、里山があれだけ出し切りながらも十両を主戦場とする姿を考えると、同じように輝き続けられたのかと考えてしまう。
十両の凄さを見届けながら、幕下に足りないものに思いを馳せる。自分にとって身近な里山が夢を叶える姿を見せてくれたからこそ、私は大相撲を書き続けようと思った。
里山は、恩人なのだ。
絶対に書きかかった記事。
あまり考えたくはなかったが、もし里山が引退するとしたらその時は絶対にこの記事を書きたい。ブログではなく、もっと多くの方が読んでくださる媒体で書けたとしたら。
里山を見ながら、私はずっとそんな願いを抱いていた。
この記事を書くことこそが、ブログを続けた私が目指したところだったのだと思う。華やかなところも、厳しいところも含めて大相撲だ。夢が叶う姿だけでは、単なるスーパーマンのサクセスストーリーだ。そして、幕下で夢破れる者の姿だけでは、名も無き力士の悲劇を描くに過ぎない。
だからこそ、里山だったのだ。
そして私にとってはやはり、あの吐合里山の一戦。映像に無い死闘をどうしても書き残したかった。吐合が成し遂げるために1分半全てを出し切った生き様を、どうしても語り継ぎたかったのである。
里山と吐合。
吐合は名も無き力士だったかもしれないが、せめてその存在と物語を知ってもらえたら。そんな想いも込められている。
よかった。
感無量、である。
■お知らせ
1.12月1日18時より、トークライブを錦糸町すみだ産業会館で開催します。予約サイトはこちらです。
今回のテーマは「数字で語る、2018年大相撲」。毎年恒例の企画です。果たして今年はどのような一年だったのか。ぜひお聞きください。
また今回のゲストトークとして、都内在住の大学4年生を招き、彼の大相撲に関する卒論を発表いただきます。外国人力士・日本人力士を応援する心理に関する研究です。世にも珍しい大相撲に関する卒論についても、楽しんでいただければ幸いです。
予約の仕方が分からないなど、ご不明な点がございましたら、masushitasumo@gmail.comまでご連絡下さい。
2.11月29日21時から、Youtubeで配信を行います。時間になりましたら以下のURLにアクセスいただけますようお願いします。
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