2024年初場所中日所感 現地観戦文化に変化が
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講演の講師を務めたため2日間お休みいただきました
2日間お休みを頂いておりました。
金曜日は「政経学修会」、土曜日は母校の日大櫻丘高校で2日連続講演を行いまして、相撲の話をしつつ、副業としてのライター業やキャリアの話を参加者の方の前で行いました。
普段行っている大相撲トークライブでは2時間みっちり相撲の話をします。データを元に様々な側面から過去と現在、未来の相撲のことを語ります。
これは相撲好きな方達の前で論じるというのは楽しいことでもありますが、間違ったことは言えないという意味での緊張感はあります。
ただ、この2日間の講演というのは相撲関係ない話もしなければならないということで、私にとっては結構チャレンジなんですね。
2015年からライターとして活動を始めて、そこから幅が拡がってきていて、相撲以外のことで皆さんに楽しんでいただく。
2011年からこのブログを続けてきた成果がこういう形で出るというのは有難いと感じつつ、これをお読みの皆さんにも是非話をお聞きいただきたいと思った次第です。
というわけで、2日お休みをいただいたのはそういった事情があったというお話でした。
7日目の現地観戦してきました
さて、母校での講演の後は両国まで大相撲観戦のため両国に足を運びました。
中日の振り返りと言いながら7日目の話をするのは少し変ですが、今場所の傾向という話なのでお付き合いください。
正面2列目という大変すばらしい席にお招きいただいたということもあって、白熱する取組を間近で観られたことはいつもながらに素晴らしく楽しかったです。
特に霧島北勝富士戦における行司の転倒、帽子と草履が脱げるという様をあの位置で観られたというのはとても貴重なことでした。
綱取りが懸かった取組でありながら、そして北勝富士が健闘し、かなり白熱した一戦でありながら観客の目線は土俵と行司に向かっており、緊張感と弛緩した空気が共に流れるというなかなか体験できないものだったように思います。
現地観戦というのはテレビでは感じることができない空気感も含めて、五感で相撲を味わえるということが醍醐味だということを再認識しました。
そしてそこで私は、2024年の大相撲の現地観戦の変化を見ることになりました。
集団応援がほぼ無くなった
現地観戦の大きな変化。
それは、観戦文化が大きく変わってきているということでした。
コロナ以前によく批判の的になっていた集団応援についてはほぼ姿を消していました。
コールと手拍子は眉を顰めるかたも多く、私も含めてそうでしたがこれは非常にポジティブなことだと思いました。
再三話に出ていることではありますが、集団応援は観戦約款上の禁止事項です。何故協会がこれを咎めないのかと常に疑問視していましたが、コロナで悪い文化が一旦リセットされたということでしょう。
確か大栄翔の時だったと思いますが、一度だけコールは発生しました。今後のことを考えると少し気がかりですが、前よりは約款上のことを考えると良い方向に進んでいることは間違いないです。
コールや手拍子をやりたいという方からすると私のような感じ方を違うと思われるかもしれませんが、これはルールとして設けられているものということはご理解いただければと思います。
場内が期待感を醸成しやすくなった
そしてこれは肌感覚レベルの話にはなりますが、注目の対戦の時の地鳴りのような期待感が生まれやすくなっているということに気づきました。
10年前の白鵬稀勢の里戦に同じものはありましたし、終盤戦の痺れるような取組の前に同種の期待を雰囲気から覚えることはありました。
ただ、そういう期待が起きやすくなっているように感じたのです。
昨日の取組の中で最初にこの空気になったのは、朝乃山戦でした。
確かに朝乃山はこの場所では全勝ですし、元大関でご存じの通りの経緯があるので期待を受けやすい力士と言えるとは思います。
ただ、幕内の前半戦で、7日目という状況の中で、相手は明生。
好取組ではありますが、少なくともコロナ以前ではあのような空気になることはありませんでした。
期待感で包まれる取組というのはそれだけで楽しいものなのです。
ああ、朝乃山の取組だ、というくらいの気構えだったところから雰囲気が出来上がっていくところを感じ、受け身ではありますが私の中でも期待感が高まっていくことを感じました。
そしてその後も霧島や照ノ富士の取組でも同種のムードは高まり、確実に思ったのは、相撲観戦が以前よりも楽しくなったということでした。
東京をはじめとして本場所のチケットはなかなか手に入りにくいものにはなっていますが、相撲自体の質も向上していますし、雰囲気が出来上がると知識が無くても期待感が上がり、それほど相撲に興味が無くても楽しめてしまう。
良い文化が出来つつあるのではないかと感じました。
これから初場所をご覧になる方は、観戦文化の変化という点について過去と比較してご覧いただければ幸いです。