九州場所の現地観戦はどうだったのか。2015年の思い出を語る。(後編)
Contents
九州場所観戦ドキュメンタリー、8年前に投げていました
考えてみると、私は2015年に九州場所を観戦している。
「川崎在住の私が初めて九州場所に行ってみた。前編」
http://makushitasumo.com/archives/571
そしてその時私はなんと、白鵬が栃煌山に猫だましを決めた例の一番を目撃している。
「猫だましによる勝利は、白鵬スタイルの最新型である。物議を超えた、相撲の次世代標準の在り方について考える。」
http://makushitasumo.com/archives/570
タイトルの長さが時代を思わせる。
当時のスポーツナビブログはこのようなものがビューを稼いでいたのだ。
あれがもう8年前というのはかなり思うところがある。
で。
ふと思ったことがあった。
私、後編書いてないじゃん。
…
そんな訳で当時のことを思い出しながらか8年越しに書き始めた。
前編:
http://makushitasumo.com/archives/2572
中編:
http://makushitasumo.com/archives/2579
吐合引退後、新時代の幕下は可能性の宝庫だった
バスセンターで30分あまり上から下から彷徨い、バスはそんな思いと裏腹にさっさと現地に到着したはいいが、今度はメシという難題を抱え、飯より幕下を誓うも幕の内弁当は避けたい。
そんなところで救世主たるつきたての梅が枝餅に救われた。
取組を殆ど観ていないのにかなり疲れている私は梅が枝餅を頬張りながら、ようやく相撲モードに突入する。
この頃の幕下を思い出すと吐合が5月に引退し、私の中では幕下がひと段落した時期である。上位を見れば鶴竜が横綱に成り、照ノ富士が大関昇進を果たし、怪我に苦しみ始め、そして稀勢の里横綱への機運が高まりつつあった頃だ。
改めて相撲レファレンスに目を通すと、この場所の幕下は当時の芝(現:紫雷)と宇良が共に全勝で優勝決定戦をしている。それは大変熱いことなのだが、8年後に考えてみると私が「幕下相撲評論家」という奇特な肩書を勝手に名乗るようになったころからは時代が確実に動いている。
幕下筆頭を見れば阿炎が居るし、6枚目には佐藤(現:貴景勝)が、更には9枚目には明生も居る。しかも三人とも3勝4敗で負け越している。
2023年の大相撲を支える力士たちが下位で可能性を見せながらもまだ壁にぶつかり、格闘していた時期と言えるだろう。
吐合が引退しても、当時の幕下は確かに未来があったのだ。
九州場所に足を運んだのは、考えてみると情熱が極に達していたから。
そして考えてみると当時の私は、相撲の様々な知識を得ていた頃だった。
相撲を観ていて一つ一つが新鮮で、分からないことそのものが楽しかったのが2011年から2012年くらいだったのだが、2014年から2015年は人との交流が活発になり、その過程で知見を得ていた。
元力士もいれば、有力なブロガーも居た。そしてメディア関係者と知り合えたのもこの頃だったと記憶している。
だから、恐らく相撲に対する興味も楽しさも、色んな意味でピークに達していたのではないかと思う。付け加えると私はこの頃相撲ライターとしてのデビューを静岡新聞の浜松巡業特集記事を書くということで果たしている。
つまり、相撲に対するエネルギーが高まり、とことん相撲に集中するという時期だったのだ。
だからこそ、別にテレビでの観戦でもいいのに、東京での観戦だけでもいいのだが、私は九州にまで足を運んだ。
そんな情熱が高まっていた時に、私は福岡国際センターで幕下を目撃している。2023年の今、家庭もあるし、ライティングの仕事もある中ではこのような行動に出るのは少し難しいのかもしれない。
そんな訳で幕下にがっつく私。
しかし、確実に異変が生じていた。
福岡国際センターのイス硬い問題
生じていた異変。
それは、
イスが硬いのである。
前述の通り、到着までに相当消耗していることや梅が枝餅、そして私の興味の対象たる幕下に完全に興味を持っていかれてしまっていてまるで意識はしていなかったのだが、これは見始めてからかなり早い段階で気づいた。
待て。
これはマズいことになった。
考えてみると国技館のイスはクッションが利いているので、そんなことを一度も思ったことは無い。流石は相撲観戦のために作られた建物だと思う。そのあたりも配慮されているという訳だ。
翻って福岡国際センターはというと、ビジュアル的にもJRの野ざらしの駅にあるような、プラスチックのやつが設置されている。
見るからに硬そうな、あれをスターバックスコーヒーにに設置したらさぞや客の回転率が向上するであろう。そんなハードさでなのだ。
そんなこと誰も教えてくれないので、これは本当に困った。
尻は痛いが、解決策が無いという地獄
まだ幕下の取組が大量に残っている。
テレビでの観戦であればそんなことはまるで考えなくて良いのだが、皮肉なことに現地だからこそ危機に瀕している。
ケツが痛い。
飯より幕下を取った私が、幕下よりケツを気にしている。
何ということだ。
流石に会場ではクッションなど販売していない。つまり、観客はイス対策グッズを持参しなければケツの痛みに耐えながらひたすら観戦せざるを得ないという地獄が待ち受けているのである。
とりあえず、手持ちのスプリングコートをイスに敷く。無いよりはましだが、まるで解決にも開放にも向かない。
だが、私の選択肢はもうこれしか残されていない。そこそこの値段で購入したベージュのスプリングコートは大して効果も無いのに数時間私のケツを守るためにハードなイスに敷かれるという不運に苛まれることになった。
仕方がないので、その時の私が取った苦肉の策。
頻繁に席を立つ。
もうこれしか残されていなかった。
九州場所をイス席で観戦される方は、8年後もイスが硬いかどうか確認することをお勧めします。
イベント情報
12月16日 18:00 大相撲トークライブ (錦糸町すみだ産業会館)
データで振り返る2023年の大相撲を横尾さんと行います。今回のゲストはなかなか面白いですよ。え!?そんな話聞けるの?って方をお呼びしています。