終盤戦の割に異議あり!?平幕下位の優勝圏内力士には上位を早く当てるべき
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上位は実力伯仲とも取れるが、結局は成績が伸ばせずにいる
九州場所の終盤戦を迎えている。
序盤は上位が強さを見せてきたが、中盤にかけて総じて崩れたことから10日目が終わった時点で3敗であれば優勝圏内という状況になってきた。
上位がだらしないという見方をする方も居るが、現在の上位総当たりで10日を全勝でカバーするのは相当な難行と言えるだろう。
昔はザラに居た、総当たり圏内の4勝11敗前後の力士が本当に少なくなっているからだ。誰と対戦しても負ける可能性があるし、実際に負ける姿も想像できる。
今の大相撲はそのような状況なのだ。
ただこれを「実力伯仲」と評しにくいのは、どんなに一つ一つの取組で良い相撲を見せたとしても、成績を振返ると凡庸なものになってしまっているからだと言えるだろう。
胸を張って「今の大相撲はどの取組も目が離せない」と熱弁しても、過去との比較で凡庸さを提示されるとこちらも返す言葉が無い。
仮に返したところで恐らくそれは、相撲ファンの自己弁護程度にしか理解してもらえないことは目に見えている。
上位が崩れると下位の力士が冴えてくる
こうなってくると浮上してくるのが、幕内下位の力士達である。
幕内下位の力士達というのは非常に不思議なもので、上位が不安定になればなるほど成績優秀者の中で誰かが集中状態に入ってくる。
そして、上位が安定してくると彼らは星を落とし始める。
今場所は10日目時点で一山本と熱海富士が2敗というこもとあり、幕内下位でも優勝の可能性は十分に残されている。
一山本は10日目に平戸海を相手に2敗目を喫したが、二人とも今のところは攻めの相撲が充実している。
熱海富士に関しては鋭い立ち合いで攻めに転じる相撲と、攻めを受けても重心が崩されない守りの相撲の両方が冴えている。
先場所の悔しさもあるのかもしれないが、幕内下位で優勝争いをした翌場所は大抵平凡な成績になるため、ここまで好調なのは驚異的と言える。
そんな幕内下位の力士が活躍すると頭の痛い問題が浮上する。
ここ4年で4回も上位総当たりに位置しない力士が優勝している
それは、終盤戦の割の問題だ。
幕内の優勝争いは、横綱から前頭最下位まで全ての力士で争われることになる。
ただ、幕内上位と中位~下位については対戦する力士が明確に異なる。
そのため最近では幕内上位のことを「上位総当たり」と評することが増えてきたが、つまり、上位総当たりの力士達と中位以下の力士達では優勝の難度が大きく異なることを意味している。
そのため幕内中位以下の力士で優勝争いの上位に位置している力士は途中から上位総当たり圏内の力士と対戦することになるのだが、幕内中位~下位の力士がこの4年で4人も優勝するという事態が起きている。
平幕優勝としては3場所連続で起きたが、その中の逸ノ城や玉鷲は上位総当たり圏内に位置していた力士なので今回の議論の対象からは外れる。
では、令和に入ってから4例ある幕内中位~下位の優勝についてそれぞれ割を見てみよう。
幕内中位~下位に対して上位を当てるタイミングが遅い
まずは令和元年夏場所の西前頭8 朝乃山である。
次に、令和2年初場所の西前頭17 徳勝龍だ。
更には、令和2年7月場所の東前頭17照ノ富士。
最後に、令和4年九州場所の西前頭9 阿炎である。
ここから分かるのは、幕内中位~下位の優勝争い圏内の力士に対しては12日目以降に上位力士を当てた時に優勝が出ているということだ。
言い換えると、上位とは多くて4人までしか対戦しないことになる。
11日目以前に幕内中位~下位の成績優秀者に当てているという見方もあるが、上位総当たり圏内の力士とのギャップはかなりあるだろう。
その時の状況があるとはいえ、上位力士に当てると言っても優勝争いのトップ力士ではなく追走する力士を当てているため、下位の力士は無心で、上位力士は受けざるを得ないという意味でもやりにくさは出てしまう。
結局のところ、割の組み方一つで優勝争いの難度が変わってしまうということだ。
問題があれば向き合い、どのように解決すれば良いかを考えよう
これについては悩ましい部分もある。
中位~下位の優勝争い渦中の力士の難易度を上げるために上位のトップ力士をいきなり当てると、仮に上位が勝った場合に上位同士の比較で不平等が生じることも出てきてしまう。
つまり、一人だけ終盤の痺れる場面で下位の力士との対戦となると、結果的に1日イージーな相手と対戦したとも捉えられる訳だ。
中位~下位の力士が浮上してきても12日目以降の時点で番付の違いを見せればこのようなことは防げるのだが、防げない事態がこの短期間で3例も発生していることから対応は必要だと個人的には考えている。
私案ではあるが、上位へ当てるのは1日早めてもよいと思っている。
仮に中位~下位の力士が充実していれば突破することにはなるだろうが、勢いづく前の試練という意味合いでも、優勝の難度を上げるという意味でもこれは一考の価値はあると私は思う。
優勝を見越して、そして優勝の価値を保つためにも、中位~下位の力士に対する割の組み方はこれから考え直すべき課題であることは間違いない。
今の割の組み方で均衡が保てているなら良いのだ。
しかし、今は保てていないのが実情だ。
問題があれば、そこに向き合い、どのように解決すれば良いかを考える。
単純なことだが、それが大事だと私は思う。
イベント情報
①11月25日 17:00
大相撲メタバース場所
メタバース空間で大相撲14日目の幕内後半の取組をパブリックビューイングします。3回目のイベントですが、メタバースきっかけで普段相撲を見ない方に大相撲が届いてきていてビックリしています。
大相撲メタバース場所の会場はこちら。
https://cluster.mu/e/84e32ca6-3fab-4276-b5a5-47c97991f531
メタバースだとちょっと・・という方にはVoicyとYouTubeでも配信を行いますので、後日案内いたします。
②12月16日 18:00
大相撲トークライブ
(錦糸町すみだ産業会館)
データで振り返る2023年の大相撲を横尾さんと行います。今回のゲストはなかなか面白いですよ。え!?そんな話聞けるの?って方をお呼びしています。
予約サイトはこちら:
はじめまして、取組編成ファン歴半世紀の栃担保と申します。
これはおっしゃる通りとしか言いようがありません。
「上位に早くあてる」の他に、上位対戦の少ない平幕優勝を避ける取組編成として
1: 平幕下位(中位含む)好成績同士の対戦を序盤から積極的に組む(好成績者については幕下方式がふさわしいと考えています。不成績者については現状の番付通り編成でも良いと考えます。)
2: 平幕下位の好成績者vs平幕上位の好調者、実力者との対戦を増やす
3: 三役上位同士の対戦を後半にぎちっと詰め込まず多少隙間を空ける(割崩しを防ぐためにも有効