2023年九州場所11日目所感 難題:攻めても受け止める琴ノ若をどう崩す?
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琴ノ若のやわらかさは貴景勝にとっては難題である
今場所一の難題。
それは、琴ノ若の攻略。
今場所の琴ノ若はちょっと大変なことになっている。土俵際の強さは今まで通りだが、衝撃を吸収する強さが更に上がってきている。
元々突き押しのタイプによっては怯まずに前に出てくる強さもあったし、柔らかさという強さを指摘する声もかなりあった。
だが、その守りの強さが土俵の中心に君臨しつつある。この相撲をどう攻略するか?というのは全ての力士にとって頭の痛いところだ。
そして、最も困っているのは恐らく貴景勝だろう。
何故なら、貴景勝は元々自身の突き押しを受け止められる傾向にあったからだ。正面からでは厳しい。今場所の火力なら猶更だ。
となると真正面から覚悟を決めて強く当たるのは勿論、そこからどう変化を付けるか。琴ノ若の思わぬタイミングで、それを出す。
捕まったら最後という中で、自分のペースで攻め続ける。止まったらかなり危ない。
さぁ、どうする。
貴景勝の前への圧力を琴ノ若が利用した取組
立ち合いから貴景勝が先手を取る。
これは予想通り。
どこまで押せるか。
貴景勝は当然、前への圧力は強めている。
だが、後退させられない。
手繰るような動きを見せる琴ノ若。
貴景勝の体が前に来たところを見て、更に手繰る。
琴ノ若が横に出る。貴景勝の前には誰も居ない。
態勢を立て直そうとするも更に手繰られ、これで勝負あり。
綱取りはほぼ終わったが、目標が消えた中での4日間をどう戦うかが大事
今場所の優勝、綱取りはここで終焉と言っていいだろう。
3敗のまま全員倒せば、雰囲気は向いてくる可能性は残されていたが、11勝の連続優勝は可能性が薄い上に流石にこれでは綱取りの機運は高まらないだろう。
仮にここから上位が崩れて優勝のチャンスが巡ってくればまたその時に話せばいいと思う。
ただ、大事なのは、まだあと4日あるということだ。
綱取りはほぼ無くなったとしても、目の前のライバルを大関の威信にかけて倒さねばならないのは同じことだ。
そして、綱取りという明確な目標が無くなった中で自分を立て直し、4日間全うするというのは綱取り同様大事なことである。
ここで切れるのか。
今のコンディションで自分の相撲を取り切るのか。
案外この4日間こそがこれからより大事とも言えるのかもしれない。
貴景勝の闘いはまだ終わらない。
そのほかの見どころ
一山本が3敗に。
そして熱海富士は2敗をキープして上位戦に臨む。
琴ノ若は勿論強いが、霧島と豊昇龍が安定感と強さを共に見せている。
二人の大関に対して守りが強烈な琴ノ若がどれだけ通じるのか。今の琴ノ若は底知れないものがあり、勢いもある。
大関二人の強さとはまた別物だ。
勢いで飲み込んでしまうのか、自力だけで跳ね返してしまうのか。
熱海富士はこの1か月半でどれだけ変わったのか。
幕内中位から下位ではもはや力が違うところまで来ているが、先場所は上位戦で通用しなかったことも事実だ。
14日目と決定戦の変化でウヤムヤになっているが、終盤戦で熱海富士は力の差を見せつけられていた。
2場所続けて良い相撲を取っている熱海富士もまた、上位でどれだけやれるかが本当に注目だ。
最初の上位戦は豊昇龍。立ち合いからさせてもらえたら豊昇龍の立て直しのスピードについていかねばならず、当たり負けたら今場所再三見せている守りの強さを見せねばならない。
豊昇龍の動きの早さと怖さは幕内中位から下位には無いものだ。
この第一ラウンドに注目したい。
イベント情報
①11月25日 17:00
大相撲メタバース場所
メタバース空間で大相撲14日目の幕内後半の取組をパブリックビューイングします。3回目のイベントですが、メタバースきっかけで普段相撲を見ない方に大相撲が届いてきていてビックリしています。
大相撲メタバース場所の会場はこちら。
https://cluster.mu/e/84e32ca6-3fab-4276-b5a5-47c97991f531
メタバースだとちょっと・・という方にはVoicyとYouTubeでも配信を行いますので、後日案内いたします。
②12月16日 18:00
大相撲トークライブ
(錦糸町すみだ産業会館)
データで振り返る2023年の大相撲を横尾さんと行います。今回のゲストはなかなか面白いですよ。え!?そんな話聞けるの?って方をお呼びしています。
予約サイトはこちら: