幕下以下でスピード出世する中卒力士を調べたら、丹治に一筋の光を見た
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強豪力士の潮流は、大卒力士から高卒力士に
トークライブにお越しの方であればご存じだと思うが、今の入門の潮流は中学卒業ではなく、高校卒業になっている。
少し前であれば有力な力士たちは大学を目指したものだが、若隆景以降は時間を掛けて出世する力士の方が多い。ようやく大の里が出てきたが、大学でタイトルを獲った力士がプロの道を目指さないという事例すら起きている。
御嶽海、正代、朝乃山といった力士たちは大卒力士が大関に成れないという声を打ち破り、立て続けに昇進したが、3人には共通点がある。
それは、大相撲が不祥事で沈んでいる時期に大相撲か、進学かを選べる立場にあったということである。
大卒力士の躍進は今のところ不祥事があった時期に大相撲を一旦敬遠し、4年間で力を付けたのちに入門して花開くというパターンということで、その後上位に出世している力士は高校卒業の年齢で入門している力士に移行してきているということだ。
このように、出世する力士たちにはその時のトレンドに合わせた傾向があることがお分かりいただけるだろう。
中卒力士は記録的な意味でも台頭すると大きな期待を受ける
さて。
大相撲の世界でよく騒がれるのは、中卒力士の台頭だ。
これは明確に理由がある。
たたき上げの力士がこれまでの大相撲の歴史を作ってきたということ、そして若くして昇進してきた力士たちに対して無限の可能性を人は見るからだ。
そしてもう一つ理由があるとすると、中卒入門だとすると記録的な意味でメディアが色めき立つということが挙げられる。
高卒入門、そして大卒での入門となるとどうしても年齢が高くなるため、年少記録を打ち立てるには厳しくなってしまう。
貴乃花は18歳10か月で三役昇進、19歳5か月で幕内優勝しているし、その前の年少記録は中学生力士だった北の湖が持っている。
このレベルの記録に比肩するペースで出世すること、もしくは少し遅くても良いが、昇っていく力士に人は希望を見出す。
高卒力士たちに時代の潮流があることは存じ上げているが、果たして彼らを凌駕するような可能性がある力士は幕下以下に存在するのだろうか?
果たして中卒力士で注目すべき力士が居るのか、調べてみた。
比較材料として高卒力士を見てみよう
まず、平成15年以降生まれで幕下に今どれだけ力士が居るかを調べた。
現在上位を席巻している高卒力士たちを見てみよう
琴手計が幕下5枚目まで既に昇進しており、最近の潮流を考えるとこのまま関取になることは想像に難くない。
既に同学年の伯桜鵬に至っては幕内優勝にも手が掛かっていたのだから、この程度の活躍では驚きもしない。
それ以外の力士は学年的には平成16年世代で、幕下までは壁もなくここまで来ている力士が揃っている。それ故今のところの成績は綺麗なものだ。
現在上位に居る高卒力士たちもここまでは比較的早いからこそ、16年世代がここまで上がってきているということに別段驚きはない。
さて、平成15年以降生まれで中卒相当の年齢で入門した幕下力士はどうだろうか。
幕下までは早いが、幕下の壁が大きい中卒力士たち
これを見る限りでは何とももどかしい力士が揃ったように思う。
代表的なところだと大辻と吉井ということになる。
恐らくこれと同じことを2~3年前に行っていたとしたら、この二人への期待という締めになっていたのではないかと思うが、幕下上位の壁がまだあり、負け越して地位を落とすという試練に遭っている。
なかなか思うところがあるのは、入門で言えば4年後の伯桜鵬に全員まとめて抜かれてしまったばかりか大差を付けられているという点だ。
伯桜鵬は幕下の壁どころか十両、そして幕内下位まで一気にぶち抜いてしまった。
歴史的に見ても稀有な力士である伯桜鵬と比べるのがそもそもの間違いなのだが、比較材料があるともどかしさはどうしても出てきてしまう。
ただ、希望が無い訳ではない。
注目の力士:丹治
希望がある理由。
それは、この中の顔ぶれで一人だけ17歳と一際若い中卒力士が居るからだ。
丹治。
福島市出身で、荒汐部屋。
そして細身となると、どうしても部屋の先輩力士のことを重ねることになる。
初日は中卒力士ならではの未完成で粗削りな内容が出るかと思いきや、スムーズに、素早く自分の相撲を取り切るという内容。
幕下中位で、この年齢でこの相撲が取れるかと驚かされた。ここで勝ち切れるのであれば、もしかすると17歳にして幕下上位ということもあり得る。
なお、同じ頃に吉井もまた幕下中位で勝ち越している。ここまでは来られると言えるかもしれない。
ただデータというよりも、相撲に対する期待感がある。今の丹治なら出来るのではという期待感を私は抱いている。
丹治の同世代のライバルは今、高校相撲界に居るのだろう
なお、三段目を見てみよう。
恐ろしいことに、丹治に対する期待が高まるという結果になった。
今のところ三段目を見ても、丹治と同学年なのは林虎のみだからだ。
高校2年生相当の年齢で幕下で戦えていた大辻と吉井はそもそも凄かったという言い方が出来るのかもしれない。
丹治が三段目を突き抜けて幕下中位でも戦えているということは、この年代では突出していると言えるだろう。
ただ、それはあくまでもそれは中卒相当の力士の中で、ということになる。特に高卒入門にシフトしている今、むしろ丹治が比較される同世代は恐らく高校相撲界に居ると言えるのではないかと思う。
高卒入門がトレンドではあるが、丹治という選択肢が一つの希望になれば、また別のトレンドが生まれるかもしれない。
とりあえず今は、中卒入門の可能性のカギを握る丹治に期待したい。
イベント情報
①11月17日 18:30選挙プランナーの渕之上知良さん・神奈川県議小林たけしさんと生配信
選挙プランナーって?炎上したらどうするのが正解?普段聞けない話をお届けしますので、是非お聴き下さい!
https://r.voicy.jp/ybKybgMkmR7
②11月25日 17:00大相撲メタバース場所
メタバース空間で大相撲14日目の幕内後半の取組をパブリックビューイングします。
3回目のイベントですが、メタバースきっかけで普段相撲を見ない方に大相撲が届いてきていてビックリしています。
メタバースだとちょっと・・という方にはVoicyとYouTubeでも配信を行いますので、後日案内いたします。
③12月16日 18:00大相撲トークライブ(錦糸町すみだ産業会館)
https://peatix.com/event/3746127
データで振り返る2023年の大相撲を横尾さんと行います。今回のゲストはなかなか面白いですよ。え!?そんな話聞けるの?って方をお呼びしています。