生真面目な巨漢。幕下力士:宝香鵬の魅力。

ブログを通じた奇妙な経験

ブログ運営を始めて7年経過しようとしている。

スポーツナビブログ時代は1352万PVを記録し、今年1月からはウェブサイトという形でリニューアルをしており、思えば多くの方からご支援をいただいてきたと思う。

ブログを通じた楽しい経験は枚挙に暇が無い。

いやげものを買ったり、高見盛の皿を使って料理を作ってもらったり、吐合Tシャツを作ったり、フランク三浦で時計を作る計画を立てたり、新聞記事を書いたり、TokyoFMに出演したり、日本テレビで相撲のクイズ番組の観衆をしたり、川崎フロンターレのゴール裏で白鵬のマスクを被って応援したり。

まだまだあるが、もはやこれはブログであってブログではない。「幕下相撲の知られざる世界」というのは、そういうサイトなのである。

さて、そんな中で変わった経験をもう少し紐解いてみると、毛色の違うものもある。
そう。
力士との交流、である。

宝香鵬との出会い

北太樹や里山、大岩戸といった力士には実際に会っているし、かなり立ち入った話も行った。元若の里の西岩親方には本場所の展望と指導に関する熱い想いをインタビュー記事にさせてもらったこともある。力士に触れ合わないことで言いたいことを言いたいように言えるという想いが有ったので、当初は力士との交流を避けていたのだが、会ってみなければわからないことがあると聞き、重い腰を上げたところ、新たな扉が開けたように思う。

そんな中、力士のアプローチで交流が始まったということもあった。
2年前のことだ。

あれは琴奨菊が初優勝した場所だったと思う。2場所連続で中盤戦までは完璧な内容の白鵬が、終盤戦で理解に苦しむような失速を繰り返したことがあった。あまりに不可解で、何かに導かれるように、敗北を重ねる白鵬の姿に、落胆でも怒りでもなく、困惑をぶつける記事を書いたことがあった。

その日の記事に対して、Facebookからコメントを付けた現役力士が居た。
藤田さんという方からのものだった。

大関や横綱という力士達は、私達の想像もつかないところで闘っている。そんな内容だった。恐らく彼は、私の所感について思うところがあったのだ。力士として、現場の人間として、私に何かを伝えたかった。そうでなければ現役力士の立場でそのようなことを言うはずが無いのだ。

誰だろう。
そう思って調べると、その正体が分かった。

宝香鵬。

白鵬と同じ、宮城野部屋の幕下力士だった。

私には彼が何を伝えたいのか、真意が分からなかった。
正直、この時は怖さを感じた。
白鵬に厳しいことを書くと、炎上していたのがこの頃だった。

ストレートに書いても、炎上。
真意が伝わらなければ意味が無いと思い、言葉を選んで書いても、炎上。
白鵬のことを書かなくても、当てつけだと思われ、炎上。
でも、白鵬について書かねばならない時期だった。

だからこそ、彼が私に伝えようとしたかったのは反感だったのではないかと思った。怖さを感じながら、私は宝香鵬というより生身の藤田さんという人間が気になり始めた。

宝香鵬は、恵まれた体で相手を圧倒するスタイルの力士だ。受けて満足しない、前に出る巨漢。いい力士だと思っていた。相撲中継でも、いつも目にはしていた。

だが、正直なところ印象には残っていなかった。
どこか足りない、幕下の一力士。
私にとって当時の宝香鵬は、そういう存在だった。

宝香鵬。
藤田さん。

果たしてこの人は、どういう人なのだろう。
どういう力士なのだろう。

何故彼は、あのような書き込みをしたのだろう。
何故彼の相撲は、それほど印象に残らないのだろう。

私なりに宝香鵬を見てみると、そこには生身の藤田さんという人間が浮かび上がってきた。

生真面目な巨漢、宝香鵬

彼は大きな体躯が有りながら、そこに甘んじない。
受ければ良いのに。
もっと簡単に勝てるのに。
受けに甘んじる力士など、幕下にはごまんと居る。

それでも、彼は攻める姿勢を忘れない。攻めることで、未来を切り開こうとしている。こういうストイックな人間だからこそ、幕下でも上位まで歩を進めることが出来ているのだ。

ストイックさというのは、足りない人間だからこそ身に付けられる素養だと思う。過剰に努力できるアスリートの多くが体格的に恵まれていないことからも、そのことがよく分かる。努力できる巨漢。二つの素養を兼ね備える力士は、そうは居ない。

だが、同時にそれは彼の弱点なのかもしれない。そう私は思うようになった。そしてその弱点こそが、私との接点を産み出すことになったのである。

つまり、真面目過ぎるのだ。

宝香鵬は確かに良い力士だ。ストイックな相撲は、心を打つ。気になり始めてからは、人間:藤田さんとしての良さの見える相撲が私は好きになった。

ただ客観的に見ると、幕下上位を圧倒できる相撲では今のところ無いことも事実だ。前に出る圧力を見れば、外国人力士や大卒で駆け上がるタイプには劣る。受けに回っても、突き抜ける力士を止められるところには至っていない。

幕下上位に定着することは、アスリートとして優秀であることの証明になると思う。次々と優秀な力士がデビューする中で同じ地位を守るには、彼自身が成長し続けねばならないからだ。しかし十両に昇進するには、攻めか受けで圧倒的な水準に達しさせなければならない。残念ながら宝香鵬は、そこには至っていない。

生真面目だからこそ、ここまで成長出来た。
生真面目だからこそ、気になる投稿に自分の見方を言いたくなった。

だが生真面目だからこそ、自分の相撲に愚直なため、宝香鵬の相撲がある程度目に浮かんでしまうことも事実だ。

考えてみると、宮城野部屋は相手を上回る発想で勝負する力士の集団なのかもしれない。
白鵬。
石浦。
そして、炎鵬。

宝香鵬はそういう相撲を取る力士ではない。生真面目さを極めることによって未来を切り開かねばならない力士なのかもしれない。だが、この生真面目さ、生身の藤田さんとしての人間性こそが、力士としての宝香鵬を強くしてきたのだ。そこにアイデアが加わった時、宝香鵬は更に強くなるのではないかと思う。一方で、このままの藤田さんを貫き、宝香鵬を更に引き上げるところを見てみたいとも思う。

目線を拡げるような余裕を持った宝香鵬に変身するのか。それとも、あくまでも藤田さんとしての宝香鵬で居続けるのか。あと一歩のところで更なる成長が求められる中での葛藤は魅力的だ。

その選択を、私は土俵上で目の当たりにすることになる。
どちらを取っても、私は宝香鵬を、藤田さんを応援したい。

お知らせ

◆5月場所観戦会のお知らせ◆

日時 2018年5月26日㈯ 15:00~18:30

場所 阿佐ヶ谷 浪漫社

参加費 4000円(フリードリンク)当日払いです。
(欠席の場合、キャンセル料は発生しません)

食べ物はありません。
食べ物、飲み物の持ち込み自由です。
そのまま残って飲んでいただくこともできますが、19時からは通常営業となります。
(チャージ500円+1時間に1杯以上のドリンクのご注文をお願いします)

ご予約はこちら。

◆トークライブのお知らせ◆
6月9日18時より錦糸町丸井のすみだ産業会館でトークライブ「第7回幕内相撲の知ってるつもり!?」を開催します。
今回も週末に実施します。テーマは「歴代一位」ですので、是非お越しください。
トークライブの予約サイトはこちら。

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