国技館のいやげもの ~2018夏場所編 ぬるさとディフォルメの狭間で~
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俺と国技館といやげもの
国技館は、ひさしぶりだった。
転職活動や執筆に追われて1月は現場で観ることが出来なかったからだ。最近は当日券で並ぶこともあまり無くなった。両国に住んでいるのに、皮肉なことだと思う。
IT業も忙しい。
ライター業も忙しい。
結婚して家事も忙しい。
これがアラフォーということなのだろうか。
この2年程度で随分と状況が変わったと思う。だが、国技館に駆け付ければ何も変わらぬ大相撲が待っている。そして、いやげものもである。
過去のいやげもの記事はこちら。
国技館で相撲関連のちょっとイヤな土産物「いやげもの」を大量に買ってみた。
大相撲の「お・も・て・な・し」。土産物と、いやげもの。国技館の最新土産物事情とは?
相撲協会の本気とほつれ。素晴らしいファンサービスといやげものの落差に衝撃を受ける。
国技館のいやげもの、再び。2014年もいやげものの威力は衰え知らず。とくとご覧あれ。
2014年の終わりに、国技館のちょっとイヤな土産物「いやげもの」。大相撲観戦に行ったら、是非売店に足を運ぼう。
2015年も、いやげもの。国技館に並んだ狂気の遠藤グッズの数々をご覧あれ。
国技館のいやげものハンターも、6回目。これはスージョには見せられぬ、国技館のダークサイドである。
国技館のいやげものは2016年も健在なり。過去最高額の圧倒的な存在感をご覧あれ。
国技館のいやげもの。「スマホのゲームより熱くなる。」ものとは?
稀勢の里グッズで一つも売れなかった、あのいやげものを買ってみた。
国技館のいやげもの、2017年9月。~まさかのリニューアル編~
国技館に来ると、土産物がとにかく独特だ。シェルエットだけで表現した遠藤煎餅や、ピンボケして誰だかよく分からない豊真将爪切り、黒地に金ラメの鶴竜Tシャツ、そして高見盛皿。
誰がこれを買うのだろう。
そういう土産を「いやげもの」と称し、私はここ5年あまり金をドブに捨てながら100人中100人、いや、私以外はガラクタ扱いという代物を購入し続けた。合計金額は一体いくらになったのだろうか。恐らくその多くを占めているのは、琴奨菊フィギュアであることは間違い無いだろう。
かつてのような、埃を被ったような、振り切ったいやげものは姿を消した。だが、それはそれでどうなんだ?という逸品は相変わらず存在している。だからこそ、その「それはそれで」という部分を見出すために、最近の私は土産物を何度も眺める。
小学校の頃に絵画教室の先生は「良い絵は絵から語りかけてくる」と話していたが、今ではその言葉の意味がよく分かる。何故なら、土産物もよく見ると語りかけてくるからだ。
一度見る。
違うものを見る。
もう一度見る。
忘れた頃にまた見る。
すると、おや?という部分が浮かび上がってくる。これが、国技館の土産物の魔力だ。昔ほど一目で見た時の威力に長けた土産物は姿を消した。だが、よく見ると味わい深い、スルメのようないやげものは健在なのである。
今回は、二つの土産物を厳選したので、ご覧頂きたい。
1.遠藤マスク
白鵬マスク、そしてあの、人気絶頂だったあの頃誰も買わなかったことがニュース記事にまでなった稀勢の里マスクに続く、マスクシリーズ第三弾はやはり遠藤である。
マスクの主な目的、というか、もはやそれしか無いのだが、被って旬な人物のそれであることをアピールして、70点くらいの爆笑まではいかないぬるい笑いを取ることにある。要するに、ドン・キホーテや東急ハンズのなりきりパーティグッズと同じなのである。
力士をリスペクトし、力士に食わせてもらっているはずの国技館サービスが結構大胆なことをするものだとヒヤヒヤするのだが、彼らのメンタリティはともかくこれ以外の使い方が無いのだから、ちょっと罪深い商品なのである。
白鵬をパーティグッズにしてしまった、第一弾。
不気味すぎる稀勢の里という、第二弾。
では三代目はどうなのか。
・・・
似て・・・なくはない。
わか・・・らんでもない。
言われれば・・・わかる。
でも、一発で、あ、遠藤だ!と分かる訳でもないし、そんなに見た目面白いというわけでもない。遠藤と言われるとああ、なるほど、と思うレベルのぬるさなのである。
これを妻に見せたところ、誰だかわからなかった。そして、答えを明かすと「ああー」という、これまたぬるい回答が返ってきた。そして、微妙な時間が流れてしまった。
これを被ったことを私は酷く後悔した。笑いが取れなかったこともさることながら、似てないでも似てるでもなく、とにかく突き抜けない微妙さだけが残ったことを私は後悔したのだ。
そう。
このマスクは作りも、リアクションも、存在そのものがぬるいのである。
どうせなら、滅茶苦茶似てないとか、再現し過ぎて不気味とか、似すぎててなんでやねんみたいな尖ったものにしてほしかった。
一目でいやげものという訳ではないが、実際に買ってみて、使ってみると、そのぬるさが絶妙にいやげものであることが分かる、スルメのようないやげものがこの遠藤マスクである。
これを使って笑いが取れる人物が居たら、相当なものである。
2.阿炎ストラップ
力士をあしらったイラストのストラップシリーズ。
ストラップシリーズと言えば、あまりに衝撃だったのが力士の写真をプリントしたものが非常に強烈だったことが思い出される。前の職場の同僚にこのシリーズの鶴竜を渡したところ大変好評で、当時の同僚(2名)から所望されるにまで至ったそれなのだが、今回はイラストの方である。
イラストの方のストラップでも思い出深いのが松鳳山のものだった。ディフォルメの腕が非常に良いので、松鳳山の怖さを上手く表現できており、私はこれを通称「魔除け」と称して愛用している。
ちなみに大関昇進前から高安もこのラインナップに加わっており、彼の場合はやはりというか強調されるのは体毛である。前面と背面が存在しており、背中にも毛が描かれているのはなんとも秀逸であった。
そして今回新しく加わった仲間は、阿炎。
イラストにするために生まれてきたような力士だ。
さて、彼はどのように仕上がったのだろうか。
・・・
これはもう、言うことなしだ。
似ている。
よく似ている。
顔も似ている。
だが、顔「も」似ているのだ。
問題は誰が何と言おうと、手足だ。
細い。
そして、長い。
ガニ股。
このイラストを描いた方は間違いなく、阿炎が好きだ。
間違いない。
これは買っておきたい。
手元に置いておきたい土産だ。
ただ一つ気になるのが、阿炎のファンから怒られないか、ということ。
それだけである。
お知らせ
◆トークライブのお知らせ◆
6月9日18時より錦糸町丸井のすみだ産業会館でトークライブ「第7回幕内相撲の知ってるつもり!?」を開催します。
今回も週末に実施します。テーマは「歴代一位」ですので、是非お越しください。
トークライブの予約サイトはこちら。
もしかしてご存じかも知れませんが「白鵬マスク」の有効な利用法について説明されているモーメントがあります。
>>https://twitter.com/i/moments/980801401675640833