2023年九州場所千秋楽所感 14日目の影響が出た大一番後の二人
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熱海富士に昨日のの影響が出ていないか
熱海富士は決して魔法が掛かっているような神がかり的な相撲を取っていた訳ではないと思っていた。
攻めも守りも良いところが出ていたし、どんな状況でも自分の良さが出せていた。それは間違いないと思う。
あとはその相撲を霧島にぶつけるだけ。
の筈だった。
後に様々な方が普段の熱海富士とは違っていたと話すほど、クライマックスと言える取組での熱海富士は違っていた。
立ち合いで突っかけてしまい、思った通りの立ち合いが出来なかった。仕切り直しての相撲は、霧島に良い部分を出させてもらえずに完敗。
今日の見どころは、熱海富士が元に戻っているか。
昨日の敗戦の影響が出ていないか。
その1点だけだった。
琴ノ若にあっさり敗れた熱海富士
琴ノ若もまた、霧島戦で狂ってしまった力士の一人だった。
竜電との取組でも同じ崩しを受けたが、昨日は湘南乃海を相手に相撲が少し戻ってきた。
ただ、琴ノ若でさえ翌日には完全に影響が出ていた。
熱海富士は立ち合い強く出て行ったが、琴ノ若がよく見ていた。頭が下がっているところを見越してかわし、勝負あり。実にあっさりしたものだった。
実力通りと言えばその通りかもしれない。ただ、13日目までの熱海富士であれば攻めも守りももっと良いものが出せたとは思う。
少なくともこの日のように、自滅に近いバランスで相撲を取りに行くことは無かったのではないだろうか。
熱海富士への期待はこの日も高かった。それは間違いない。ただ、ここで会場全体が熱海富士に勝ちを望むような、異様な雰囲気にはなっていなかった。
稀勢の里に万歳をしたあの会場を期待で包むところに至らなかったのは、昨日の相撲があったからだろう。
熱海富士本人も、観客も、14日目の取組前とは変わってしまったところがあった、ということだ。
14日目の取組を終え、良い意味での影響が出た霧島
もうこの時点で霧島の優勝は決まっていた。
だが、霧島はあくまでも普通だった。
綱取りが潰えて何としてでも意地を見せたい貴景勝が相手ということもあり、やりにくい部分はあったはずだ。
しかしそれでも、強く当たっておきたい貴景勝の事情を冷静に見定め、冷静に対処して勝負あり。
この取組も実にあっさりしたものだった。
14日目の大一番の影響は出ていないように見えて、余裕と自信をもたらし、平常心で普通の霧島を見せたということを考えると、良い意味での影響が出たとみていいだろう。
こんなに霧島は堂々としていて、どんな状況でも対応出来て、貫禄のある相撲を見せられたのか。
勢いに頼る訳でもなければ、強烈な闘志やスキャンダラスな動機もなく、ただ本来の霧島が本来の相撲を取って勝った。
これ以上ないほど強い相撲だと思う。
そのほかの見どころ
来場所を占う上で大事な取組として宇良北青鵬と高安玉鷲という2番があった。
北青鵬に動きを止められ、手詰まりに見受けられた宇良が素早く動いで北青鵬の重心を崩し切り、そのまま押し倒した一番には驚かされた。
この勝利で勝ち越し。恐らく来場所は小結で迎えることになる。
そして高安は状態が上がってしまい、玉鷲の攻めを許したが、高安にありがちな土俵際の逆転で勝ちを拾い、2桁に乗せた。
高安もまた、小結が有力視されることだろう。
トリッキーな動きも警戒しなければならない宇良と、爆発力のある立ち合いと左が入ったら地獄の高安という、序盤には全く当たりたくない二人が小結ということになると上位の力士たちはかなり気を付けなければならない。
加えて圧力が上位でも通用することを見せた豪ノ山も勝ち越し、翠富士も総当たり圏内となると、相当癖のある上位陣ということになる。
個人的には三賞の行方よりも今日の勝敗で来場所の番付がかなり穏やかではないものになったことが非常に気になった。
御礼
15日間お読みいただきました皆様、急なブログ復活となりましたがありがとうございました。
すばる舎から「はじめての相撲」を発売したことに伴い、初心に帰って多くの皆様と相撲を楽しむ15日間にしたいということで始めた、本場所中の記事でしたが、最終的に1日2本で30本を書き上げることになりました。
お付き合いいただきありがとうございました。
2024年1月も同じ試みが出来るかはわかりませんが、初日から所感は書いてみようかとは思います。続くかは生温かく見ていただければ嬉しいです。
イベント情報
12月16日 18:00 大相撲トークライブ (錦糸町すみだ産業会館)
データで振り返る2023年の大相撲を横尾さんと行います。今回のゲストはなかなか面白いですよ。え!?そんな話聞けるの?って方をお呼びしています。
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